「立春」で春の気配が顔を見せ始め
「雨水」で空気の暖かさが一段と増し
もうすぐ「啓蟄」
生き物たちの命の息吹が感じられるようになってきますね
この二十四節気を生み出した昔の人のセンスには脱帽してしまいます
自然の中で生かされているということを知りながらも
自分たち人間にはかかせない暦という人工物をつくりあげた
その調和の美しさが、二十四節気にはあるように思います
大地で輝き始める春の息吹だけでなく
宙に輝く星座も、冬から春へと衣替えをしてゆきます
冬のような煌びやかさはないけれど
天の川が濃く輝く夏の宙への橋渡し役を慎ましく務める春の星座たち
そんな春の星座への思い出話です
はじめて星の名前を覚えたのは小学生の頃
理科の教科書でもなく図鑑でもない
漫画を読んで「星に名前があるんだ」ということを知りました
はじめて出会ったその星の名前は春の星座おとめ座の「スピカ」
しかも、スピカは連星でたったひとりで輝いているのではない
みんなが力を合わせて、ひとつのスピカという輝きを放っている
ということに幼いながらも感動し、一気に星の世界にのめりこんだ気がします
ここが私の星の世界に飛び込む原点だったと
春が巡ってくるたびに、スピカを見つけては思い出します
星に夢見た少女は、無事に大学に進学し
宇宙を学びながら、天文サークルの活動も楽しんでいました
私が所属していたサークルは毎春の大学祭でプラネタリウムを上映していました
入部したての1年生も解説や機材の操作を行う恒例イベント
私もペアを組み、解説係として春の星座について先輩に教えてもらったり神話を読んだり
知らなかった星座や神話がたくさんあって、本番では何を話そうか悩んだことを覚えています
その中で私の心を惹いたのは「からす座」でした
神話は「いたずら好きのカラスがおしおきで夜空に張り付けにされている姿」
というもの
この神話も良いネタだと思ったのですが
それよりおもしろいな、と思ったのは「夜空の暗さの指標になる」ということ
からす座が見えていれば、そこの宙はある程度暗いという証拠
街中では人に見つからないように、かくれんぼしているけど
田舎まで行けば人目も少ないから、安心して姿を現すことができる
というエピソードがとても気に入り、本番でもお話しました
ペアで機械操作を担当してくれた友人も「からす座が好き」と言ってくれて
それも思い出のひとつです
私の場合は春の星座だったけれど
みなさんそれぞれ思い出の景色や場所があるはず
それに出会える頻度は多いかもしれないし、少ないかもしれない
でも心のどこかには必ずあるものってありませんか?
宙はいつでもどこでも頭の上に広がっています
晴れた宙、雨模様、虹や月が出ていたり、その宙模様は変わるけど
宙という大きな存在はいつも私たちを暖かく見守ってくれています
そんな存在があなたの近くにも、ずっとありますように